〈基本的な要素〉

 ①ミーティングの場に当事者研究を促進するコミュニケーションの土台をつくる

そのために、普段から「よかったところ、最近の苦労、さらによくするところ」の三点を用いてミーティングを重ねることで、コミュニケーションの土台作りをする。

②研究チーム・仲間をつくる

 一人の困りごとや生活体験を素材に研究をすすめるプロセスは、仲間づくりでもあり、仲間が増えるほど情報が集まりアイデアが生まれる。

③相手を変えるのではなく、自分がどう変わるかを志向する

 当事者研究は、いわゆる生活上の問題を抱えた人の態度変化や、問題解決をめざしたアプローチではなく、その場を共有する人たちが相互に「自分がどう変わるか」を志向してすすめられる。その意味でもスタッフ自身が率先して当事者研究をすることを奨励している。

 

〈応用的な要素〉

困りごとに直面したときには研究してみよう”と考え、出来事を“現象”と理解する。

 日常生活で困りごとに遭遇したときに、常に“研究してみよう”と考え、“現象”として扱う。

⑤人と出来事(問題)を分けて考える。

 人が問題なのではない、問題が問題なのだ、という外在化された発想を重視する。

⑥研究の第一歩は「データとり」。研究ノートを活用する。

こまめにデータをとり、自分にあったグラフや表、アクションを用いて研究のデータや成果を公開する。データの質と量が、より確かな判断と結果に繋がる。そのために、自分の中に観測地点を置き、そこから内外を眺める感覚でデータを集める。

⑦繰り返しおきる出来事のパターンやサイクル、意味を見極める。

繰り返しおきる問題や苦労のパターンやサイクル(苦労の形を見る)、さらには出来事の背後に見えにくい形で内在している意味や“問題に助けられているところ”を見極める。

⑧“今までの自分の助け方”と“新しい助け方”の視点。

今までの失敗や行き詰まりを“自分の助け方の結果”と捉えて、研究を通じて新しい自分の助け方を仲間と一緒に考える。

⑨相談されたときは、仲間の研究に関する情報提供をする。

 当事者研究は、挑戦を見守っていてもらえる、報告や相談ができる、結果について否定せずに一緒に考えてくれる、という関係の中で促進される。

⑩どんな困りごとも、最初の相談相手は“自分自身”である。

自分を差し置いて、人に相談すると“苦労の丸投げ”に陥るので、まず“自分に相談する”ことを心がけるとよい。

⑪人の苦労も十人十色。人間一人一人がユニークで、かけがえのない存在であることを大切にする。

当事者研究は、一人一人の苦労の輪郭を丁寧になぞるような関心、共感、感動、探究心、発見、達成感を軸に展開し、その人が見て、感じている光景、体験している世界に、尊敬の念を持ってゆっくりと降りてゆくようにこころが温まる対話を重ねる。