「くすりの飲み心地の研究」

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研究者:山本賀代(自分のコントロール障害王道型)
協力:むじゅん社


「『薬の飲み心地を問う』のが精神科であり、飲んでいるかどうかをチェックするのは内科でしょう。」中井久夫 (『こんなとき私はどうしてきたか』医学書院


山本賀代の「薬の飲み心地の研究」スタート!
薬との付き合いは、精神医療の中心的なテーマです。欧米の5倍から10倍の薬を服用していると言われる日本の精神障害者ですが、単純に減らせばいいというものではありません。
「多量処方」問題を解くひとつの切り口は、何といってもユーザーである当事者の側からの発言です。そこで、白羽の矢がたったのが、
この分野での数々の武勇伝を持ち、苦労の専門分野が薬物問題といってもいい山本賀代さんです。
彼女が「薬の飲みごごちの研究」の研究に着手しました。
これを機会に「薬の飲み心地」研究班がスタートします。


■山本賀代の「薬の飲み心地」分類  ※個人の感想です。

「セレネース(一般名:ハロペリドール、定型抗精神病薬)」
・興奮がおさまる。
・おとなしくなる。
・自分を抑えられた感じがする。
・現実感は薄い。


「ジプレキサ(一般名:オランザピン、非定型抗精神病薬)」
・妄想が消える。
・効き目が長いから楽。
・安定して安心する。
・現実感は薄い。
・太る。


「セロクエル(一般名:クエチアピン、非定型抗精神病薬)」
・効き目が短い。
・頼りない。
・現実感がある。


「ルーラン(一般名:ペロスピロン、非定型抗精神病薬)」
・ルンルン♪ ルーランでルンルンする。
・軽い。
・抑えられた感じがない。
・現実感はある程度ある。


「リスパダール(一般名:リスペリドン、非定型抗精神病薬)」
・幻聴、幻覚に効く。
・フラッシュバックが止まらなくなることがある。
・タバコがおいしくなくなる。
・ボーっとしたい人にお勧め。
・やる気は出ない。
・現実感はかなり薄い。
・太る。


「エビリファイ(一般名:アリピプラゾール、非定型抗精神病薬)」
・幻聴、幻覚、妄想に効く。
・頭の“お客さん”がリアル。
・夢もリアル。
・朝はすっきりと目覚める。
・食欲が適正になるが、過食症には効かない。
・ずっと視力0.05で過ごしていた人が、いきなり視力1.5を取り戻したくらい現実がクリアになる。都会など人間関係があまり濃密でないところでは特に問題はないかも知れないが、浦河ほどの人間くさい環境ではかなりの生活スキルが要求され、現実の過酷さに耐えられるか否かが問われる。


■山本賀代の薬とのつき合い方

・ エビリファイに挑戦!そして爆発・・・。
自分のコントロール障害の私はエビリファイにしてから3回ほど爆発。

・エビリファイとリスパダールを併用
不安感から元気が出すぎて眠れず、過活動になったためリスパダールに戻った。どうにもこうにもやる気が起きなくなったため、再度エビリファイにチャレンジ。今度はリスパダールとエビリファイの4週間の併用から単剤にした。

・やる気がでて、がんばり過ぎに
再びやる気が出て仕事などを頑張った。しかし、その後過労気味になったことと、自分を語る作業を怠ったことから酒爆発。頓服としてリスパダール水溶液やハイセレニンを服用し安定したが、不安発作で手が固った。

・寝たきり、爆発、昔のスキルのオンパレード
自分に絶望して鬱になり過眠・過食になり1カ月ほど寝たきり。
そうして生活が崩れていたところに恋人とのケンカが勃発。
6年ぶりに暴れだし器物破損、大量服薬、包丁、大量飲酒など昔の技が全部出てしまった。

・過酷な現実のなかでどう生きるか

頭をクリアにして、やる気を起こして働きたいという欲求があり(むじゅん社の社長なので)、エビリファイを服用を続けているが、それと人間アレルギーという現実や虚しさに耐えられない不安との葛藤が続いている。
今はソーシャルワーカーとの連絡報告相談や通院で自分の調整中だ。
昔のやり方に頼らず、仲間に語ること、相談すること、自分をいじめないことを心がけている。
その為にも女の語り場を設けるなどの工夫をし三度の飯よりミーティングをする必要がある。
私は独特な賀代語と呼ばれるコミュニケーション能力で生きて来たが
それでは周りとの関係が悪化する一途で孤立しやすく、自分の意思が伝わらない欲求不満で爆発を繰り返してしまうため、人間らしいコミュニケーション能力の練習が必要となっている。
これは一番苦手であり、見たくなく取り組みたくない練習だったため
長期放棄していたが、今エビリファイのおかげでこの課題が出てきていることに感謝している。

「薬との上手な付き合い方の八か条」

一.自分が薬を飲むことで何を求めているかを忘れない。(私の場合は自分のための「PKO活動」です)

一.あまり生真面目には飲まないが、忘れてないかは確認する。

一.その薬を飲む以前と以後の自分の変化を観察する。自分でわからない場合は身近な人に評価してもらう。

一.薬の名前や効能や副作用は調べて仲間と情報交換をする。

一.自分のコントロールは薬だけじゃどうにもならないので周りの人と相談しながらする。

一.飲んでる薬に疑問や不満を抱いたら即専門家と相談。

一.大量服薬は後々副作用で苦しむだけだと肝に銘じる。

一.薬を飲むなというお客さんや幻聴さんが来たら一人で悩んで決断せずに相談する。



「自分のためのPKO活動とは」

薬を飲むことは自分のための平和維持活動の一環です。
初めて精神科の薬を飲んだときどれほど安心したか、忘れられません。

1度目は飲み始めて1年くらいで沖縄へ講演に行ったころにちょっと薬を飲まずに過ごすことに挑戦したらイライラピリピリして最終的には講演崩壊をしてしまった時には、やはり飲まなきゃぁと思った。

そして再び2年ほどして、「自分は薬を飲まされてる」「本当の自分を否定されてる」という被害的なお客さんにジャックされて先生に腹を立て文句を言ったら「じゃぁ無脳薬の実験をしてみろ」ということになり2週間ほどで見事にバラバラ状態になった。
数も数えることが出来なくなり、仕事も生活も出来なくなり、約束も覚えていられなくなり、大事な友達にも腹を立てられたりした。
そして結果的に薬が一時的にではあるが増えてしまった。

その時、あらためてやっぱり薬は私にとってとても大事なもので、もちろん薬だけではないけれども、これは私にとっての平和維持活動の一環なんだなぁと気付かされたことから薬を飲むことは自分のための「PKO活動」と名づけました。


前に主治医の川村先生が「お前みたいなやつはいいんだわぁ。だってちゃんと文句言うしょ。文句も言わないで黙って言われたとおりにだけ飲んでるようなタイプは困るんだわぁ」と言っていた。



「治療における患者の最大の貢献は苦情を言うことである」
                      神田橋條治