「自分の中を見つめる作業かと思って具合悪くなってしまったけど、自分の問題を外在化して客観的に見ることだった」(札幌べてるの会阿部)
今までは、専門家だけが「答え」を持っている人だった。当事者研究をみんなですることで、生きていくこと、暮らしていくことへのヒントが得られる。当事者の具体的な経験や苦労のなかに打開策はあるのだ。
今回の研究者U君は、当事者研究に出会って良かった事として「だんだん行動化がなくなってきた。当事者研究の形で発表することで、みんなが楽しんでいる事がわかる」と語った。
■U君の苦労のプロフィール
NBA(アメリカのプロバスケットボール)が好きで、自身も学生時代はバスケットボールの選手だった。NBAの一流選手であるマイケル・ジョーダンの声で幻聴さんが聞こえ、誘われるままに渡米しようとして千歳空港へ何度も向かうも、途中で保護されるという行動化に悩まされていた。
当事者研究をし、幻聴のジョーダンの誘いをちゃんとお断りをすることで行動化は納まった。
その植田君がみんなに悩みを相談したいと言う。その中身は…
■新しい苦労
「アメリカ人の幻聴さんが出てきて困っている」と言うU君。
「それなら前からジョーダンの幻聴さんがいるのでは?」
「英語で喋ってくるから何言ってるか分からないので困っている」とU君。
今までジョーダンは日本語で喋ってくれていた。
この英語で話しかけてくる幻聴さんの名前は、デニス・ロットマン。NBAの選手で38歳。NBAのビデオを見ている時に聞こえる。試合の解説をしてくれるので、正直嬉しい。しかし、その英語が短縮英語なので、レベルが高すぎて困っている。
「英会話教室くらいのレベルで話して欲しい」とU君。難解な英語で頭が一杯になるほどたくさん話してくるので、一生懸命勉強して理解しようとしているU君。そのうち、少しずつ理解できるようになり英語が上達した!ていねいにお願いしたので、幻聴さんもゆっくり話してくれるようになった。
■幻聴さんとのつき合い、現実の人との付き合い
幻聴さんとの付き合い方は、幻聴さんに失礼のないように、ということと、幻聴さんに対して受け身にならないようにする、ということが大事。そして、幻聴さんとのつき合いだけでなく、現実の人づきあいも大事なこと。今、U君は、アメリカ人の友達と日本人の友達とのバランスが取れていない。
「これからは日本人の友達も増やしたい」と言うU君だった。