研究者:宮西勝子
自己病名:自爆系統合失調症のミュンヒハウ子(代理)
■苦労のプロフィール
「お前は犯罪を犯した」という幻聴さんがいて、自分は犯罪者なんだという思い込みで苦しんできた。そのため、自分で自分を裁くために裁判を開き、頭を叩いて罰するという行動を取ってしまうという苦労がある。
07年12月に当事者研究のための「研究留学生」として浦河に来た。浦河でも、自分を監視する公安や告発者が恐ろしくて、人の輪の中に入っていけないという悩みを抱えている。
最近では、人とのつながりを実感するために、怖くなったときのサイン「どんだけ〜サイン」を開発した。(スキルバンク参照)
■研究のきっかけ
「苦労のピラミッド」という考え方を知った。
ピラミッドの一番上には病気の苦労、真ん中には現実の苦労、一番底辺には生きるということの本質的な苦労があり、その本質の苦労を隠すようにしてピラミッドが積み上がっているという考え方だ。
思い起こせば、病気になる以前の子供のころから、自分に対するネグレクトという形の自己虐待があり、そこからエネルギーを貰うようにして「罪悪感」という病気の苦労は成長していったと思う。
虐待の一種で、子供を病気にさせて周りの同情を買う、注目を浴びる、という「代理によるミュンヒハウゼン症候群」がある。私の自分という子供とのつき合い方がよく似ていると気がついた。
なんと罪悪感は「自分いじめ」だったのだ。
しかも「いじめてませんよ〜」という巧妙な見せ方をする。
そして、自分いじめの「自作自演」だった!!
ということを当事者研究ミーティングでみんなに惜しげもなくネタバレしてしまった。
■研究の方法
自分の苦労の本質を惜しげもなくみんなの前で公表してしまうことで、その「ネタが古くなる」という現象がおこる。今や、時代遅れにしてしまうのだ。
「自分いじめ? 古〜ぃ!」
ということである。
そこで新しい自分とのつき合い方のモデルが必要になってくる。
■春の自分を大切にするキャンペーン
・食べる(ちゃんとした手作りの食事を自分に食べさせる)
・眠る
・薬を飲む(勝手にやめたりしない)
・散歩して歩く(ひきこもらない)
・仲間の輪の中にいる
この五箇条を守る事を、丁度季節も春なので、「春の自分を大切にするキャンペーン」と名づけた。
自分いじめが古いなら、最新流行は自分を大切にする事だろうということでキャンペーンをはじめた。
キャンギャルとして、キャンペーンの推進をはかり、広報にいそしむことにした。もちろんキャンギャル自らキャンペーンの五箇条は守る。
当事者研究ミーティングを通じてキャンギャル、キャンペーンボーイの人数も増え、頼もしい限りだ。
みんなで出し合った自分いじめの技の数々は以下の通り。
・布団に入って「お客さん」を招いて自分をいじめる
・リストカット
・ウソや小さな苦労を大きく話す
・すぐ謝る
・人の一番嫌がることを言う
・ご飯を食べさせない
・過食(特にジャンクフード)
・薬を飲まない
・寝ない
・ひとりぼっちにする
・パチンコにはまらせる
■研究の効果
自分いじめの技をネタバレすることによって、技が通用しなくなっていく。
新しいキャンペーンに取り組むことによって、苦労のピラミッドの内容が変わっていき、ひいては病気とも仲良くなれる!という効果が期待される。
■感想
自作自演をネタバレしてしまったので、後がない。
キャンギャルを頑張るしかない。
春のキャンペーンと言わず、夏も秋も冬も継続していけたら良いなと思う。
春のウキウキする気分のときにはじめられて良かった。
今までの子供の苦労から、大人の苦労へとレベルアップしたい。
今後、ゆりもどしなどの研究が楽しみである。しかし、目標が持てたので良かった。