ギワクーニャ勝子における自己病名の移りかわりについて

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研究者:宮西・ギワクーニャ・勝子

■自己病名とは
医師につけてもらった統合失調症や双極性障がいといった病名ではなく、自分の実感のこもった自分の感じている苦労を盛り込んだ病名のことをいいます。
自己病名は一度ついたら変わらないものではなく、苦労の内容の変化と共に自己病名も移り変わっていくのです。

■宮西さんの自己病名

1. 「自爆系統合失調症のミュンヒハウ子(代理)」
最初は自爆系統合失調症でした。
自爆系とは自分を罰して頭を激しく叩いてしまうという状態のことです。
そして、その病気の状態には、実は医療者にかまってもらうためのミュンヒハウゼン症候群的な仕組みがあると思うにいたりました。
そこで、ミュンヒハウ子(代理)が追加され、研究発表することでネタばれしてしまったために病気に逃げ込めなくなってしまいました。
しかし、先日、体がガチガチに固まってしまったため、カツを入れるために頭を叩いてしまいました。
今だに疲れると固まるということに困ってます。

2. 「人格の不一致日本語失調症家族内タイプ」
浦河では、日本語を使った人とのコミュニケーションがうまくいかない日本語失調症の方がたくさんいらっしゃいます(別に英語の方が得意とか、そういうことではない)。
ミーティングの場に出てきて当事者研究の司会やSSTのコリーダーを誰よりも積極的に行なってきた宮西さんも実は日本語失調症だったということが最近わかってきました。
上っ面のコミュニケーションはたくさんとれても、自分にとっての肝心な事が家族には言えずにいます。その肝心な事とは「両親と一緒にいると具合が悪い」ということです。それがずっと言えずに、いつも宮西さんがしたい事と親がする事が違うということがおきていました。
例えると、それは自分が食べたいと思っている食材と親が料理に使った食材が違うけど、「これは私が食べたいものとは違う」という事がどうにも言えずに料理を食べないで、代わりに頭を叩くという非言語的手段で自己主張をしてしまうという感じです。

3. 「統合失調症他人の苦労のごみ集めタイプ」
宮西さんは日常的に人に苦労がないかを聞いてまわります。
他人の苦労を集めるコツは、他人の苦労なのだけど自分の苦労かのように練り上げることです。
集めた他人の苦労は、宮西さんのなかで自分が人とつながるためのネタとして蓄積されていきます。
将来ワーカーになりたいと思っている宮西さんは、このままいくと順調に自爆系日本語失調症燃え尽き型のワーカーになることが予想されます。

■まとめ
自分の病気が減ってきた(今までは、薬を飲まない、自分の面倒をみないという方法で病気な自分を保って人とつながってきたが、研究の結果ネタがみんなにバレたので、残念だけど自分の病気は勢いを失いつつある)宮西さんは、最近は他人の病気をかき集めるようになり、いつも問題や苦労の渦中にいないと落ち着きません。
向谷地さんは「いわゆるスポットライト症候群だね」とニヤリと笑います。
今は、どうやったら地味に生きられるのかを知りたいと世界の中心で叫んでいます。

以上のように自己病名は時と共に移り変わっていきます。
治ったかどうかは別にして・・・。