サトラレの研究

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横尾憲彦(千葉県流山市)
自己病名:統合失調症サトラレ型

苦労のプロフィール
16年前の大学生のときに発病。テレビのアナウンサーとお話していたら母親に精神科に連れていかれた。幻聴が聞こえており、その幻聴に対して喋っていた。療養生活を送り、状態は良くなった。その後は統合失調症である事を意識しない生活を送っていたが、一昨年くらいから「サトラレ」の症状がでてきて苦労している。

1. 研究の方法
デイケアで当事者研究のミーティング参加。そこで、たまたま同じ「サトラレ」の苦労があるメンバーの研究報告があり、それを聞いて「僕も同じ症状があります」と言った。サトラレの苦労があるメンバー同士で話をしたり、互いにそれぞれサトラレを確認したりして、考えていった。

2. 研究の内容
まず「自分の考えが伝わってしまう」という現象を「サトラレ」と呼ぶことにした。当事者研究に参加するまでは、本当に自分の考えが知られていると思っていた。同じような苦労をしている人がいることにびっくりした。「言葉」は勝手に浮かんできて、「サトラレ」ると、心臓がバクバクしたり、身体が緊張したりする。とくに相手への悪口が伝わってしまうことにすごく罪悪感を持っていた。今までの対応策としては、とにかく家に引きこもって人とはできるだけ距離を置いた。散歩にでると、猫やカラスまでにもサトラレて苦労した。サトラレがおこりやすい条件をみんなで検討すると「人との関係が希薄になっているとき」ということが判明した。なんと、サトラレ対策として自分がやってきたことは、むしろサトラレを悪化させていたのだった。そして人とのコミュニケーションを大事にして、関係が充実してくるとサトラレ感覚が減ってきた。デイケア利用当初はサトラレ感90%だったが、仲間とのコミュニケーションが充実してくると7%くらいまで低減した。最近は、調子の良いときは0%になるときもある。

3. 考察
こうして発表用の資料をつくると、サトラレなんてありえないという感じが強くなった。人と話すときも怯えるということがほとんどなくなった。この当事者研究を通じて、あらためて人とのコミュニケーションの大事さを実感した。引きこもっていた時期に応援してくれた両親にも感謝している。